やっぱりご飯がすき・茨城のポテ子福福・田舎生活ダイアリー

農業を継ぐことになった50代主婦ポテ子の日常

農業では生活が成り立たない現実。

 

このブログを読んでくださっている皆様にお話しするのが遅くなりましたが…

 

ポテ子は農業に従事するのをやめました…。

これまでポテ子を応援して下さっていた皆様、本当にありがとうございました。

 

できることなら息子の馬夫が結婚してお嫁さんがうちに来て…子どもが生まれて家族が増えて…育んでいく様を見たかったです…。

家族が愛で満ちて…みんなで元気と愛情をいっぱい畑に降り注いで作物を育てる…。

愛情でピッカピカの玉のような作物が実って…

それをお客様に提供する…。

 

お客様がその作物を食べて

「美味しいねぇ!!」って笑顔になって…喜んで貰えてまた嬉しくなって…幸せが連鎖する…。

当たり前のことだけど素敵だなぁ…って思います。

 

何故農業をやめるのか…?

収入の問題…これは大きいです。

短い間でしたが農業だけに従事して『農家の家計簿』を覗いたポテ子の感想としては

実際、今の農業は薄利の割に経費ばかり掛かって大変だ…というのが実感でした。

農薬、肥料、種苗、資材、機械の購入、メンテナンス…

経費が膨大な割に収入が見合わないのです。

 

むかし【3ちゃん農業】という言葉が社会の教科書に書かれていました。

農村で一家の大黒柱である主は都会に出稼ぎに行き、残ったじーちゃん、ばーちゃん、かーちゃんで農業を営む…というものです。

 

今のご時世でも似たような現状です。

収入を増やすことを考えるなら、まず誰も売値の良いものを作れば良いと考えることでしょう。

しかし、よく考えなくてはなりません。機械を新たに購入しなくてはならないか?人手がかかる作物か?コストがかかる作物か?

経費的に難しいなら、二毛作はできないか…?

そして作物の手間があまり掛からない時期を見計らって、出稼ぎに行くことを考えるのも収入を増やす一つの手なのです。

 

ここ最近は自然災害に見舞われたり天候の影響を受けたりと

地域によっても様々ですから

『農家の現状』と一括りにするのは無理があるように思います。

 

ポテ子が農業に従事した時から既に農家の現状は厳しく、自分の持てる限りの時間と労力を畑や田んぼに注いで身を削るように仕事をしていた毎日でした。

そうしなくては仕事が追い付かない日々だったのです。

 

なぜそれでもやっていたのか…?

ポテ子には夢がありました。

それは…

少しずつでもいいから農業のやり方を変えていきたい…というものでした。

農業を知れば知るほど疑問が湧いたのです。

今の農業のやりかたは何処かがおかしくないだろうか?…負の連鎖になっているのではないだろうか?…と。

虫がつくから農薬を散布し、虫に耐性がつくと更に強いものを使う。

虫が死んで作物が沢山できて一見良さそうだけど本当にいいの?

畑や田んぼの土は自らの力を失い

肥料がなければ作物はろくなものができない…。

しかもできた作物には農薬や化学肥料がたっぷり入っている…(それは当然です)。

そして、そういう作物を食す人間にも弊害が出てきます。

食べた作物の農薬や化学肥料が年数を経て人間の体に蓄積していき、病気やアトピー、アレルギーなどを引き起こしたり…。

 

虫がつくのには理由がある、

という考え方をするとその原因を取り除いてあげればよいという答えがでます。

原因と結果はセットなので原因を取り除けば結果が変わるのは当然です。

 

考え方を変える

考え方を変えると新しい農業が見えてくるような気がします。

現状は原因を教えてくれるきっかけに過ぎないのだとすれば、原因を追究していけば手掛かりが見つかるかもしれない…。

 

そしてポテ子が今の農業に一番おかしいな…と思った点は【循環】ができていないんだ…ということでした。

土の中の菌が元気に活動していたら、作物が実り、朽ち果て、次の作物のエネルギー源となり、再び作物を実らせる…ということが可能な筈です。

 

農薬や肥料は人間が良かれと考えて作られた素晴らしいものでした。

私たちはその恩恵に預かり豊かな食生活を送れてこれたのも事実です。

感謝しています…。

けれど長年使い続けて改めて分かったことも沢山あるのです。

どこかがおかしいのであれば

直さなくてはなりません…。

 

時代を担う子や孫達が安心して食べていける作物を作れる農業への今は転換期なのかもしれない…そう思っていました。

 

 

馬夫にも夢がありました…。

馬夫なりの新しい農業を考えていたのです。

ポテ子と馬夫は日中の畑仕事が終わると、夕飯の食卓で今後の農業について毎夜語り合いました。

畑の土を活性化させるために新しい手法を試みている人がいると聞けば、馬夫に

実際に行って話を聞いて来てもらい、良いものであれば取り入れたいと思いました。

 

農業の指揮をとっていたのは父(80過ぎ)で、ポテ子達はこれからの農業について話し合いをしてはいつも意見が噛み合いませんでした。

 


父は農薬や化学肥料を使わなければ作物は実らないと信じていました…。

 

ポテ子や馬夫の意見は一笑にふされことごとく却下されました。

何かしら今後のことを決めるのはいつも父でした。

 

 

父と母は働き者で若い頃から農業が大好きだったようです。

何も無いところから作物を育て、お金にし、家や倉を建てたことに誇りを持っています。ある日「もう一度若返ることができたならどうする?」と母に聞くと

 

「また農業やっぺなぁ!何にもねぇどごろから金を生み出すのは面白がっぺよ!オラ…まっとまっと銭儲けしてみてぇな(笑)」と云っていました。隣で父もニンマリとしながら頷いていました。

ふーん…そういう気持ちも分かる……と思いながらポテ子は聞いていました。

 

 

人には【段階】というべきものか…【適した時期】とでもいうべきものかがあるのかもしれません…。

例えば年老いて余命わずかになったとき、自分の培った知識や何かを後世の人にバトンタッチして死のう…と思う人と、まだ次の人には到底渡せない!と思っている人と…。

 

父は後者のようでした。

父の身体は見た目通りの80を過ぎたお爺さんでしたが気持ちは違っていました。

若いころとあまり変わっていなかったのです…。

そもそも人の心は年齢に比例して成熟しているのだろうか…?という疑問がありますが…。ポテ子は人によるだろう…と思っています。

 

父は自分が老化してできなくなった仕事をどのように補うかをいつも考えていました。

 

此処と此処はあいつにやらせよう、

あそこはお前がやれ、

俺の言うことを聞け、

決めるのはオレだ…、

体が老いても頭があればできる…

お前らの頭は要らない、

オレの言うことを聞いていればいいんだ…

オレがやれ、と言ったらやればいいんだ…

機械はオレがやる、

オレは機械なら楽だから…

ほかの奴が覚えなくてもいいんだよ、

オレがやるから…

 

これは一体…?

振り返って再度思うのは…両親とポテ子や馬夫は、元々相容れないものが心の根っこにあったのだ…ということです。

 

小さな子どもが楽しく遊んでいる玩具をある大人から「次の人に貸してあげなさい」と云われても出来ないのと同じです。

理由は…まだ遊び足りないのです…。

飽きるほど十分に遊んだならきっと笑顔で「はい、どうぞ」と云えるのだと思います。

そういう意味で父はまだ足りていないのです、きっと…。

味わい尽くし、満足し、もう自分には要らないと思えれば自然と次の人に渡せるものなのかもしれません…。

 

所有欲や権力欲(こんな言葉あるのかな…?)が十分に足りていない父にとっては、次の人に渡せる時期じゃなかったのです…。

 

父は次の人を育てることができなかった…

 

死んでまで持って行けるモノなんて本当は…何一つないのに…

 

価値観…なのでしょうか…?

多分父にとって今一番大切なものは【財産】で、それを絶対に失いたくないと思っている…。その価値観が変わるのには…何か…が起こって…人にとって一番大切なものとは…と決定的に思い知らされる日でもこなければ難しいのかもしれません…。

 

だから正直に気持ちのままに振る舞う父を責めることはできません…。

父の価値観が変わる日はいつ来るのでしょうか…?

もしかしたら来世かもしれないし…

きっと時期がくれば…来る…ものなのでしょう…。

 

 

これは父が悪かった訳でもなく仕方の無いことなんだ…と思います。

自分に嘘をつくと人は幸せに生きられませんよね…病気になる?…ような…気が…ポテ子は…します…。

 

とは云え自分たちのやりたいことをいつも父に押さえつけられる環境で、馬夫とポテ子の鬱憤は溜まっていきました…。

逆らうと一言目には

「ここはオレのものだ、イヤなら出ていけ!」と云われます。

身体の中のエネルギーが行き場を塞がれて猛り狂いながら渦を巻いているような…そんな状態でした。

それが原因なのかは分かりませんが、馬夫は時折鬱のような状態を繰り返しました。その状態だと仕事は何日もできません…。

 

ある日父が馬夫に云いました。

 

「この家を出て好きなことをした方がお前の為にもいいんじゃないか?」と…。

 

言葉の口調は静かでも…

もう自分は必要とされていない、ここは自分の居場所ではないのだ…と悟ったのでしょう…。

 

馬夫は家を出て行きました…。

 

父にとっては後継ぎは誰でも良かったのです…。

自分のいうことを逆らわずに聞いている者ならば…。

 

父が悪い訳でもないのです…それが嘘偽りない正直な父の気持ちなのですから…。

逆に父がポテ子や馬夫に合わせて自分の気持ちを偽ったなら

父の心はネジクレて…病気になってしまうだろう…と思うのです…。

 

人は自分の心に嘘はつけないものなんだ、きっと…と思うのです…。

嘘をつけば健康を損なう…

環境や生活習慣からも病気になるけど、自分の心を騙してもきっと病気になる…。

両親に病気になどなって欲しくはない…

だから…辛いけど…これは…最善の結果なんだ…そう思いました。

 

馬夫ならきっと大丈夫…!!…どこにいても応援してる…信じてるから…。

やれるよ…きっと…。

 

父を責めることはしないけど、だからと云ってポテ子が父の云いなりになる訳でもないのです…。

この先も父の手足のようになって働き続けることはポテ子の人生を「乗っ取る」と宣言している父に同意することになります…。

そんなことは絶対にさせない…。

そんなことを許すのは

ポテ子をポテ子自身が殺してしまうのと同じだ…と思えました…

 

そしてポテ子も農業から身を引くことをきめました…。

 

 

そんな経緯で今は農業は一切やっておりません…。

 

農業1本でやっていこう!!って意気込んでいたのに…人生とは…分からないものですね…。

現在は外に働きに出ております。

今後もブログは続けて参りますので。よろしかったら…お時間のあるときにお読み頂けると嬉しいです。

 

読んで頂きましてありがとうございましたm(__)m

宇宙に存在する全てのものに感謝致します。

 また次回お会いいたしましょう(^^)